お客様への共感を深い信頼関係の起点に

Salesforceのベストプラクティスで顧客のビジョンを具現化

顧客企業のビジネスを成功に導くために、セールスフォース・ドットコムの「カスタマーサクセスグループ(CSG)」では、幅広いアドバイザリーサービスを提供しています。インプリメンテーションアーキテクト(IA)は、広い視野と長期的な視点で顧客企業のビジネスを捉えながら、Salesforceのベストプラクティス・標準機能を活用してその成功を支援します。顧客企業と深い信頼関係を築いているインプリメンテーションアーキテクトの3人に聞きました。

 

カスタマーサクセス統括本部
アドバイザリー本部
インプリメンテーションアーキテクトリード
山下靖二(やました・やすじ)

 

Salesforceの効果的な実装を技術面から支援

──カスタマーサクセスグループにおける「インプリメンテーションアーキテクト」の位置づけを教えてください。

(山下)カスタマーサクセスグループ(以下 : CSG)はポストセールス全体の総称であり、インプリメンテーションアーキテクトは、そのひとつであるサービス統括本部(プロフェッショナルサービス)に所属しています。私たちは、ビジネス変革を決意してSalesforceをご採用いただいたお客様へ、技術支援を中心とするアドバイザリーサービスを提供します。Salesforceをどのように導入し、豊富な機能をどう使いこなして成果を高めるか――お客様のビジョンを具現化することがチームのミッションです。

インプリメンテーションアーキテクトの役割は幅広く、Salesforceを効果的に活用するための戦略・計画の策定、導入の支援、運用と継続的な改善までを一貫してサポートします。導入が完了して運用段階に入ってからも、長期にわたって支援を希望されるお客様は少なくありません。

 

 

──インプリメンテーションアーキテクトの仕事を紹介していただけますか。

(山下)インプリメンテーションアーキテクトがアサインされる典型的なケースは、導入プロジェクトの初期段階で「Salesforce機能の業務への適用について適切なアドバイスが欲しい」「中長期の視点で効果の高い実装を検討したい」というお客様のご要望に応えるものです。その上で「時間短縮に寄与する正確な製品知識」を期待されていると強く感じています。私たちはお客様と議論を重ねながら、Salesforce導入のメリットを最大限ご提供できる実装を検討します。基軸となるのはSalesforceのベストプラクティスの活用であり、標準機能を効果的に利用する提案です。

たとえば、お客様から「既存システムで提供している機能を、Salesforceにも作り込んで欲しい」というご要望があったとします。インプリメンテーションアーキテクトは、アドオン機能の開発を決定する前に、全体最適化の方針に影響しないか、運用開始後の保守や拡張に支障がないか、将来的に負の技術遺産にならないかを慎重に検討します。

重要なのは、広い視野と長期的な視点でお客様のビジネスを捉えながら、その成功を目指すことです。私たちのすべての活動の基盤には、「カスタマーサクセス=お客様の成功を第一に考える」があります。追加機能の開発が、もしお客様のビジネスの成功の妨げになる可能性があるなら、現行システムの改修やお客様の業務プロセスを変更するよう進言することも迷いません。

──Salesforceの標準機能に合わせてください、と言うのは勇気が必要ですね。

(山下)もちろん簡単なことではありませんし、無理強いすることもありません。インプリメンテーションアーキテクトは、お客様に期待されてアドバイザリーとしての役割を担います。常にお客様の期待に応えながら、しっかりとした信頼関係を築いていることが大前提です。だからこそ、インプリメンテーションアーキテクトには優れた「コミュニケーション能力」が求められますし、「共感力」というべきスキルも重要です。

現行システムや業務の変更を提案するに際して、そのシステムが使われてきた背景を理解し「共感」できれば、お客様にとって思い入れのあるシステムの使い勝手を採り入れたり、さらに発展させたソリューションを提案することも可能になります。お客様のインプリメンテーションアーキテクトに対する期待には、自分たちへの理解と共感の先で「リードして欲しい」ということも間違いなくあります。

 

 

Salesforce製品への精通と顧客業務の理解

──インプリメンテーションアーキテクトのチームをご紹介ください。

(山下)現在のチームには、システムアーキテクトやシステムエンジニア、SIer・ITベンダーから事業会社出身の方まで、様々なバックグラウンドを持ったコンサルタントが在籍しています。Salesforceの機能だけでなく、業務システムとの連携やプロジェクト管理に精通したメンバーもおり、アドバイザリーサービスに厚みを加えています。全員が、お客様が成功するために何が必要なのか、自分が何をすべきかを常に考えて行動できるメンバーです。

インプリメンテーションアーキテクトは、同時に2社のお客様を担当します。Salesforceは製品が豊富であり、かつ年3回のペースでアップデートされますので、最新技術への素早いキャッチアップが求められます。バランス感覚が大切な仕事ですが、お客様のプロジェクトを支援しながら同時に製品を学習していくため、メンバーのスキルアップのスピードには目を見張るものがあります。

セールスフォース・ドットコムには「Ohana」と呼ばれる助け合いのカルチャーが根付いており、チーム内での知識の共有やサポートは自然に行われています。自己学習を効率よく進めるためのコンテンツや環境も充実しています。また、開発環境は必要なときにすぐに用意できますので、自分で手を動かしながら検証できるメリットは大きいですね。チームが編成されてまだ2年ほどですが、お客様から高く評価されるまでに成長しました。

──どのような方針で、インプリメンテーションアーキテクトチームを強化していく考えですか。

お客様の期待が急速に高まる中、メンバーの拡充が急務となっています。インプリメンテーションアーキテクトにはSalesforce製品への精通と関連業務への理解が求められますが、チャレンジする意欲と向上心さえあれば経験がなくても難しくはありません。

エンタープライズシステムの構築経験、中でもベストプラクティスやリファレンスアーキテクチャーを使いこなす感性はすぐにでも活かせるスキルです。チームプレイの重要性を理解でき、メンバーの知見を活かしながら自らの役割を発揮できる技術者なら、Salesforceの大規模プロジェクトでも存分に力を発揮できるでしょう。

──インプリメンテーションアーキテクトにはどのようなキャリアパスがありますか。

上位のインプリメンテーションアーキテクトを目指すこともできますし、お客様企業専属のアドバイザリーとして技術を軸にお客様の変革を導く「プログラムアーキテクト」やお客様のビジネス課題やCRM戦略から変革を導く「ビジネスアーキテクト」に進む道もあります。過去にはテクニカルセールスに転進した例もありますね。セールスフォース・ドットコムには非常に幅広いキャリアが用意されていますので様々なチャレンジが可能です。

私自身は、外資系システムベンダー2社を経て、プログラムアーキテクトとしてセールスフォース・ドットコムに入社しました。インプリメンテーションアーキテクトチームの立ち上げ時にリーダーとして参画して今に至っていますが、スピード感のあるビジネスとオープンな社風がとても気に入っています。「カスタマーサクセス=お客様の成功を第一に考える」というビジョンが、急成長を続けるこの会社をひとつにまとめる力になっていると強く感じています。

中長期の視点でSalesforceの価値を最大化

──続いてインプリメンテーションアーキテクトのお2人にお聞きします。これまでのご経歴と、現在の仕事内容について教えてください。

 

カスタマーサクセス統括本部
アドバイザリー本部
インプリメンテーションアーキテクト
平井崇文(ひらい・たかふみ)

 

(平井)外資系システムベンダーに15年在籍し、アーキテクトとして大手金融機関のお客様を担当してきました。セールスフォース・ドットコムにはインプリメンテーションアーキテクトとして入社し、現在2つのプロジェクトに参画しています。ひとつは大規模なSalesforceの導入で、Salesforce製品のスペシャリストとしてプロジェクト管理を通じてお客様を直接サポートし、構築ベンダーとの調整役も果たしています。もうひとつは、Salesforce導入プロジェクトを推進中の大手システムインテグレーター様への技術支援です。

 

カスタマーサクセス統括本部
アドバイザリー本部
アソシエイトインプリメンテーションアーキテクト
品川結貴(しながわ・ゆき)

 

(品川)前職は、企業の経営企画室でSalesforceによる自社とグループ企業の業務改革を5年以上担当してきました。業務課題の抽出からSalesforceを活用した新しい業務プロセスの構築まで、一貫してプロジェクトの最前線で取り組んできた経緯があります。セールスフォース・ドットコムには、その経験を活かしてプリセールスロールであるSE(ソリューションエンジニア)として入社し、2020年初頭にインプリメンテーションアーキテクトに転進しました。現在はアソシエイトとして2つのプロジェクトに参加し、プロトタイプの構築や技術的な課題に対する解決支援を担当しています。

──平井さんが取り組んできたプロジェクトをご紹介いただけますか。

(平井)ユーザー系大手ITサービス企業様による「Salesforceデリバリーチーム」の立ち上げを支援したプロジェクトをご紹介します。このお客様では、国内屈指の企業グループを構成する数10社に対してSalesforceの導入を積極的に推進してきましたが、案件ごとのシステムの完成度・品質のばらつきに悩まされていました。インプリメンテーションアーキテクトとして参画した私が提案したのは、グループ全社に適用可能な「Salesforce構築ガイド」の整備、業務ごとの「Salesforceパッケージ」の構築です。

「構築ガイド」は、経験の少ない技術者でも手戻りなく確実にSalesforceを導入できること、Salesforceの標準機能を推奨し過度のカスタマイズを回避すること――結果として、お客様のビジネス目標に合致した高品質なSalesforce環境を実現することを目標に整備を進めました。お客様自身が培ってきたノウハウとインプリメンテーションアーキテクトとしての知見を凝縮し、およそ1年をかけてお客様グループ全社の標準ドキュメントとして完成させました。

また「パッケージ」は、インサイドセールス向け、コンタクトセンター向けといった業務特化型のテンプレートを作成し、パラメーター設定だけでSalesforceの基本機能を短期間で使えるようにするものです。これを利用することでSalesforce導入の初期段階の作業が標準化され、一定水準の品質を確保することが容易になりました。

これらの成果が評価されて、お客様側のプロジェクトリーダーは社内で表彰されたと聞いています。おかげさまで私自身も「お客様満足度」で満点の評価をいただき、インプリメンテーションアーキテクト契約を継続していただいています。

──品川さんは、これからどんなプロジェクトにチャレンジしていきたいですか。

(品川)Salesforceユーザーとしての長い経験に加え、SalesforceでのSEとしての経験を活かして、お客様が抱える複雑な問題の解決に取り組みたいという気持ちが強いですね。私は、紙とExcelに依存してきた業務がSalesforceでデジタル化されることで、業務効率が劇的に改善した現場を何度も見てきました。また、複数の事業部門による横断的な情報共有にもSalesforceは大きな威力を発揮します。

日本企業のお客様は、独自の業務プロセスをそのままシステムに作り込む傾向が強いと思うのですが、「Salesforceなら標準機能でここまでできる」「標準機能を利用すれば年3回のアップデートにより最新の機能が使える」ということを、お客様にしっかり伝えていくことが私の大事な役割だと思っています。それは、私自身のSalesforceユーザーとしての実体験に基づくもので、信念と言えるかもしれません。

(平井)お客様に標準機能をお勧めすることに関しては私も同じ考えです。Salesforceの導入そのものは、お客様自身でもシステムインテグレーターでも可能です。常に広い視野と中長期の視点を持ち、予期しない改修コストが発生したり拡張性が損なわれてしまうようなことなく、将来にわたって正しくSalesforceのメリットを享受できるようお客様を導くことが、インプリメンテーションアーキテクトの大事な役割だと思っています。

──インプリテーションアーキテクトを志望される方へメッセージをお願いします。

(平井)私がインプリメンテーションアーキテクトを志望した理由は、「IT技術者としてもっと成長したい」という思いが一番大きかったですね。最新のクラウドテクノロジーをいち早く吸収して、それを活かしたソリューションをお客様に提供できるようになりたかったのです。また、前職で得た知識や技術が、プロフェッショナルとして新しいお客様に提供できる価値があるのかを見極めたかったこともあります。

現職でのスキルは、技術面・ビジネス面ともに圧倒的なスピードで伸びていると実感しています。これだけ刺激的な毎日を過ごせることは、技術者として大きな喜びです。前職での経験が、インプリメンテーションアーキテクトの仕事に想像以上に役に立っていることも嬉しい驚きでした。ぜひ私たちと一緒に新しいテーマにチャレンジして、自分自身のスキルを磨いて欲しいと思います。

(品川)前職でSalesforceのプロジェクトに一緒に携わった派遣社員の方が、正社員に登用されたと聞いてとても嬉しく思いました。Salesforceの実務経験や資格には、高い市場価値があることを改めて実感しています。私自身は、インプリメンテーションアーキテクトとしての経験を重ねながら、より上位のポジションを目指していきたいと思います。

セールスフォース・ドットコムには、学歴や生活環境などを問わないオープンでフェアな社風があります。事業会社出身でIT企業でのSE経験がない私がすぐに溶け込むことができたのは、社内SNSツールのChatterを用いたコミュニケーションで誰でも発信できること、社員同士で賞賛し合える雰囲気、困ったときに助け合う「Ohana」のカルチャーが大きいですね。一緒に新しいチャレンジを始めてくれる仲間を心から歓迎したい、私もそう思っています。